NHK「課外授業 ようこそ先輩」
僕が1978年に卒業した札幌市立南郷(なんごう)小学校を訪問し、小学6年生(当時)に授業をやりました。放送は2003年10月12日。
メディアという言葉を一切使わずに、メディア論の授業をやってみようというのがアイデアの発端です。「この世に存在するすべてのメディアやプロダクトは、人間の欲求や本能が、身体や感覚の延長線上に外在化してきたものだ」という考えを簡単に理解してもらうために、いろいろなプロダクトの裏にある人間の欲求を言い当ててもらいます。「スコップは?」「望遠鏡は?」「車は?」「その裏に人間のどんな欲求があったとと思う?」という具合です。その後、子供たちに自由に、画用紙に自分達の欲求を思うままに書き出してもらい、僕はその皆からの欲求を集めて、同じような欲求(夢)をもっている子たちをグルーピングして、「未来の○○○」を考え、プレゼンテーションするように僕からの指令を出します。
「未来のファッション」 「未来の放送局」 「未来のスポーツ」 「未来の遊園地」 「未来の人間と動物の関係」 「未来のロボット」 「未来のよりよい社会」というカテゴリーで、子供たちは2週間協力しあい、模型やモックアップを作りながら、生まれて初めてのプレゼンテーションを体験しました。どれもすばらしいアイデアで、そのうちのいくつかはこの世に実現したものもあります(子供たちの手によってではありません)。
この授業を通じてハッキリ解ったことがあります。能動のスイッチがONになった子供たちは、驚くほどクリエイティブですごいエネルギーを出し始めます。知識を授けることよりも、知識をどう応用するか、どう何かの創造に変えるか、どうそのスイッチをONにしてあげるか、そのHowへの道筋を示してあげることが何よりも重要なんだと再認識しました。
放送終了後10年経って、成人した何人かの生徒たちからTwitter経由でメッセージをもらいました。なんとステキな時代なんだ!